「FX(外国為替証拠金取引)」という単語を見聞きしたことがあっても、「どのようなものなのか、具体的にイメージできない」という人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、FXの未経験者または初心者に向けて、「FXで利益が出る仕組みとは?」「損失が出る原因は何なのか?」「どうしてFXは人気なのか?」といった疑問に回答し、トレードする際に必要となる基本知識を簡単に説明します。
FXとは?利益が出る仕組み
FX(Foreign Exchange)とは、異なる2種類の通貨を売買する取引のことです。一般的に、「証拠金」を担保として預け入れることにより、何倍もの資金を動かせます。売買する際の価格の差がトレーダーの利益になります。
例えば、為替レートが「1ドル=100円」の時に、1万円で100ドルを購入したケースを考えてみましょう。為替レートが「1ドル=105円」になった時に保有している100ドルを売ったとすれば、手元に戻る資金は10,500円となり、差し引き500円の利益が出ます。
ただし為替相場は常に揺れ動いているため、予想とは反対に動いていく状況がしばしば発生します。トレード中は常に情報を収集し、値動きに注視しておかなければなりません。そして損失が出た場合は、その損失が大きくなる前に損切りを行うことが大切です。
特に、突発的なイベント(戦争・大規模自然災害・疫病など)が起こったり、主要国の政治家や中央銀行関係者が予期せぬ発言を行なったりすると、一瞬で相場が大きく変動する可能性があるので危険です。
FXが人気な理由
FXが人気な理由としては、以下の2点が挙げられます。
・「買い」からでも「売り」からでもエントリーできる
・少ない元手資金でも始められる
FXの魅力として、「先に買って、後で売る」だけではなく「先に売って、後で買い戻す」という順番でトレードを行うことが可能な点が挙げられます。「売り」からエントリーすれば、価格が下がり続けている状況でも利益を出せます。
異なる通貨を売買する取引としては、FXの他に「外貨預金」があります。しかし、外貨預金では常に「日本円で外国通貨(ドルやユーロなど)を買って、後で売る」ことになり、「先に売って、後で買い戻す」ことが不可能です。
また、FXは少ない元手で始められるという特長があります。投資といえば「株式」を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、株式投資を始めるには一般的に数十万円以上の資金が必要です。
FXの場合、証拠金を業者に預けることで最大で25倍の資金を動かせます。この点も、FXと外貨預金の違いです。例えば、4万円の証拠金をFX業者に預けた場合、25倍の100万円分の資金を動かせます。
なお、株式でも「信用取引」という仕組みが存在しますが、証券会社に預け入れた元手資金の3倍の金額までしか取引できません。FXは、最大で証拠金の25倍の資金を使ってトレードできるので、元手が少ない人におすすめと言えます。
初心者が覚えておくべき基本用語解説
ここからは、初心者が覚えておくべき基本用語について解説します。
円安とは、他の通貨に対して円の価値が下がることを意味します。逆に、他の通貨に対して円の価値が上がることは円高と呼びます。相対的な基準であり、絶対的な基準があるわけではありません。ある時点で「1ドル=105円」だった為替レートが「1ドル=100円」になれば「円高」になったといいます。しかし、「1ドル=95円」だった為替レートが「1ドル=100円」になれば「円安」になったと言われます。
「建て玉」ともいいます。FXでは「ある通貨を売って、ある通貨を買う」という取引を行なって、決済を行うまで保有し続けることになります。この状態を「ポジション」と呼び、保有している通貨の量と方向(売りなのか買いなのか)で定義されます。
FXでは、「買い価格」と「売り価格」の間に差が存在します。この価格差を「スプレッド」と呼びます。スプレッドはFX業者の利益になります。
FXでは、1万通貨や1,000通貨といった一定の量で通貨の売買を行います。このトレードを行う際のひとまとまりの量を「通貨単位」と呼びます。通貨単位は業者によって異なります。
「Lot数」とは、売買する通貨の量を表す際に使われる用語であり、「通貨単位の何倍か」を表します。例えば、1万通貨を単位としている業者でトレードを行う場合、1万通貨は1Lot、10万通貨は10Lotと表現されます。
FXでは、業者に担保となる「証拠金」を預け入れることで、現在の日本の金融庁の規制においては最大で25倍の資金を動かせます。この「少ない元手で大きな資金を動かせる」という仕組みを「レバレッジ」と呼びます。レバレッジ(leverage)は「梃子(てこ)」という意味の英語であり、小さい力で大きな物体を動かせる「梃子の原理」に似ていることから、FXなどの証拠金取引でも使われています。
一定以上の含み損が出た際(証拠金維持率が一定以下になった場合)に、ポジションを自動的に強制決済して損失を限定し、トレーダーを保護する仕組みを「ロスカット」と呼びます。アメリカ雇用統計のような重要経済指標発表時には、相場が急激に動いてロスカットが間に合わなくなり、資産がマイナス(借金)となることがあります。
思惑と反対方向に相場が動いていった際、損失が大きくなる前に決済することを「損切り」と呼びます。自分自身の判断で行う点がFX業者によって強制的に実行されるロスカットとの違いです。
FXでは「ある通貨を売って、ある通貨を買う」という取引が行われます。2つの通貨の金利に差がある場合、「スワップポイント」と呼ばれる金利差調整分が発生します。低金利通貨で高金利通貨を買った場合は、ポジションを保持し続けている限り、毎日付与されて利益が積み重なっていきます。逆に、高金利通貨で低金利通貨を買った場合は、業者に支払うことになるので損失が発生します。
FXにはこのほかにもさまざまな専門用語があります。トレードを開始する前に初心者の方は、まず最低限これらの用語は理解しておいた方が良いでしょう。